日本の就職での謎ルール”履歴書は手書き”についての議論です。
皆さん、履歴書は手書き派でしょうか。
私は断然手書きですね。
今回は履歴書は手書きが良い理由、そして手書きの履歴書が日本の会社を弱くする理由をお伝えします。
目次
前提:私の転職経験
私は新卒で上場企業に就職し、その後海外へ移住。
現地ではイギリス系のIT企業に就職し営業として働いていました。
その後、紆余曲折あり帰国し、今は日本の上場企業で働いています。
この記事では、海外と比べてわかる日本企業の異常さ、そして何故日本の会社が非効率なのかをお伝えします。
そして、就活・転職中の皆さんには、履歴書は手書きがベストということに納得感を持っていただければ幸いです。
履歴書は手書きが良い理由
最大の理由は“履歴書は手書きが常識”、と信じている人が面接官の可能性もあるからです。
私はアホみたいなルールだ思っていますが…
ただし、自分が就職する時は別です。
わざわざ不利になるかもしれないパソコンを使う必要がない、という理由で手書きをします。
皆さんにも、企業からパソコンの指定がない限り手書きをお勧めします。
先日ネットにこんな記事が出ていました。
https://curazy.com/archives/229793
内容としてはそれほど目新しいことはなく、いつものように二つの意見に分かれます。
手書き派の意見
手書きをする人はこんな意見です。
- 手書きの方が気持ち(本気、熱意)が伝わる
- 字で人物像がわかる
- パソコンの履歴書と比べた時に好印象
- そもそも手書きが常識
- そういうマナーだからしょうがない
わかる。とてもわかります。
ごもっともです。
私はどの理由も正しいと思います。
パソコン派の意見
パソコンで履歴書を作る人はこんな意見が多いです。
- パソコンで作成した方が早いし、使いまわせる
- 間違いの修正も簡単にできる
- ITスキルを示すことができる
- そもそも手書きの必要がない
これもわかります。
でも、手書きと比べられちゃうと手抜きの印象があることは拭えないと思います。
なぜパソコンの履歴書は手抜きに見えるのか
答えは日本人のメンタリティーにあります。
それは“苦労をしたほうが偉い”という精神です。
むしろ苦労をしていない = 頑張っていない、とすら思います。
よくある比較ですが、
- サービス残業で深夜まで頑張り、100%の仕事をしたAさん
- 定時頃に仕事を切り上げるが、自分の仕事は100%しているBさん
理屈ではBさんの方が市場価値の高い人間だとわかりますが、なんとなくAさんの方が好印象じゃないですか?
どっちが友達になりたいタイプですか、などの質問だとより評価がわかれるかもしれません。
これが良くない。
楽をする = ずるをする
皆さんにもこんな気持ちはないでしょうか。
私は苦労をしたのに、あの人が楽をして同じ結果を出すのは許せない。
そんな気持ちはないでしょうか。
・手書きの人 = 苦労をした人 = 頑張っている人 = 評価が高い人
・パソコンの人 = 楽をした人 = ずるい人 = 評価が低い人
辛さを乗り越えた方が偉い、という評価の仕方がそもそも良くないのです。
本当は達成をすることが重要で、辛かったかどうかは関係ないはずなのです。
けれど現実には苦労しながら必死に達成した人の方が評価をされる場合も多々あります。
何故か?
辛さを耐えたから、努力のボーナスポイントがつくのです。
正しい努力だったかどうかではなく、”辛かったかどうか”でも一定の評価がつくのです。
海外の就職の場合
就職差別の話
日本と比べて、海外の就職はどうでしょうか。
実は結構ルールが厳しいのです。
具体的には、差別禁止の思想が非常に強いです。
“職を得る”ということは重要なイベントであり、差別が如実に現れる部分でもあります。
ではその対策をどうしているのか?
それは“その役割にふさわしい人なのか”ということを重視し、それ以外を重視しないようにルール化をします。
例えば、あなたが履歴書をチェックする人事部だとしましょう。
2通の履歴書が送られてきて、どちらの人に面接で会いたいでしょうか。
Aさん:30歳。大卒白人男性。
Bさん:30歳。大卒黒人男性。
答えはお任せしますが、既にいろいろな統計はあります。
日本のテレビでも外見に対する評価の調査がありましたね。
モデルが圧勝しています。というか、私もそちらを選ぶかもしれません。
結果としてその判断は間違いではないケースもあると思います。
経験的、確率的には正しいのかもしれません。
でも、“そのポジションにふさわしい人なのか”という点ではどうでしょうか。
外見が必要な仕事でないのであれば、外見で選ぶことは差別になります。
日本だとあまり意識しませんが、もしこれが白人候補者、黒人候補者であったらどちらを選ぶでしょうか。
そのため、海外では履歴書に写真を貼らないことが普通です。
むしろ禁止です。
面接もあえて電話面接から始まる場合があります。
Googleなどは面接の流れにもハッキリと書いてありますね。
これは外見で先入観を持たず、話の内容に集中する効果があります。
*年齢・性別ですら記入できない場合もあります。
その仕事をするのに関係ない点で差別をした、という点に非常に注意をしているのがわかります。
Googleは犯罪歴ですら差別はしないと明示しています。
ここまでハッキリと書けるのはすごい。
海外の履歴書はパソコン作成
肝心の履歴書ですが、当然パソコンで作成します。
手書きはむしろマイナス要素です。
日本ではFAXもまだ普通に使われているんだよ、というとものすごく驚かれますが、
履歴書は手書きだよ、というと同じくらい驚かれます。
手書きの履歴書は必要ないでしょ。の一言です。
就職をしたい熱意は手書きの履歴書に現れるかもしれません。
だけど、文字の雰囲気でも先入観は持ちますよね。
“字が綺麗なだけで頭が良く見える現象”には皆さんも覚えがあると思います。
熱意は手書きの美しさでカバーではなく、しっかりと能力で表しましょうよ、ということです。
何故日本と海外の履歴書に差がでるのか
理由:差別禁止の意識
1つめの理由は、やはり差別禁止の思想の強さの違いです。
日本人は欧米基準の差別意識がまだあまり実感できないことがあります。
例えば、白人を褒める時、“肌が白くて綺麗!”と褒めることがあります。
日本人の女の子は好意的な意味でしょっちゅう言ってますね。
だけど、”言われた側は戸惑う”と、ある友達に教えてもらったことがあります。
白いほどいいなら黒は…?
アジア人の肌色はどうなの…?
肌の色に対するコメントは素直に喜べない褒め言葉となる場合があります。
何が言いたいかというと、“気がつかない差別は存在する”ということです。
その対策は何か。
出来るだけ、差がわからないようにするということです。
例えば、学歴、職歴、スキルなどにフォーカスし、その他のバイアスがかかりやすい項目を見えないようにするのです。
もう手書きやってる場合じゃないですね。
理由:仕事がハッキリする
もう一つの理由は、役割がハッキリしていることです。
こういう人が欲しい!と決めていないと、そもそもうまく仕事の求人ができません。
もし顔も、性別も、年齢もわからない人を選ぶならば、どういう求人を書くでしょうか。
出来るだけ具体的に書くはずです。
私の職場で欲しいのは、こういうスキルがあって、こういうことが出来る人です。
という感じです。
コミュニケーション能力とか言ってる場合じゃないです。
*ちなみに、海外企業の求人にもcommunication skillなどの項目はよく記載があります。大事は大事ですから。
一例としてGoogleの新卒採用はこんな感じです。
一部抜粋ですが、要件はまだまだ続きます。
効率化ってそういうとこやで
もうね、手書きなんてしている場合じゃないですよ。
そういう本質的でないことやっているから“日本は生産性が低い”ということになるんです。
効率化とは、素早く動こう!とかではなく、やらないことをハッキリ決めることです。
“やらなくてもいい。”ではなく、”やってはダメ。”と決めることです。
“あ、履歴書は手書きでも、パソコンでもどちらでも良いですよ”
って言われたら、一応手書きにするか、ってなるじゃないですか。
そういうのやめましょうよ。
それでも私は履歴書を手書きする!
そしてどんどん社会は弱くなる!
そう思います。
効率化をしたい企業は、ぜひ練習として履歴書の手書き禁止から取り組んでみてください。
企業としては宣言をするだけで、多くの人の貴重な時間が救われます。