日本最高!!
俺たちの職人技日本!!
マナーが良い日本 is the best!
というようなテレビ番組がある一方で、
“海外の人は紳士的だよ”というような論調での紹介も数多くありますよ。
その際に出てくる例の一つとして、
“海外では老人に優先席を自発的に譲る人が多い”
というものがあります。
今回の記事では
“外国人は優しく、日本人は心が冷たいのか”
ということへの答えを解説していきます。
*ざっくり”海外”としていますが、イメージとしては欧米としてもらえるといいかと思います。その辺は柔軟にお願いします笑
目次
外国人は日本人より優しいから席を譲るのか?
答えは“NO”です。
いくつか要因がありますが、外国の方が席を譲りやすい状況にあるというのが答えです。
まずは日本の状況から見てみましょう。
日本は人口密度が高すぎる
この図をご覧ください。
さすが俺たちの東京!
他の都市ができない光量を平然とやってのける!!
そこに痺れる!憧れるッ!!
ということが伝えたいのではなく、単純に人が多いんですね。それも圧倒的に。
人口密度が爆発しています。
関東を見てみると、人口ランキング、人口密度ランキングで上位を獲得していますが、
都道府県の面積では1~10位の圏外です。
さらに東京と一口に言っても、沿岸部に人口が集中しており、実際に住んでいる人が少ない西側の山間部を除けばさらに人口が一箇所に集中するはずです。
つまり、狭い土地に大量の人が住んでいる、ということがわかります。
通勤手段が電車の人が多い
日本の通勤においては電車・バスを利用する人の割合が非常に高いです。
かたい資料なので詳細は省きますが、東京を中心にした関東の都市部はほぼ公共交通機関を利用。
一方で、田舎になるほど車通勤が多いということがデータにしめされています。
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/jutsu1/00/04.html
では、海外はどうでしょうか?
日本と比べると、都市部においても自家用車での通勤が非常に多いです。
https://www.vision-net.co.jp/morebiz/commuting-situation/
私はアメリカ、カナダ、ニュージーランドに実際に住み、ヨーロッパでも多くの国を旅してきました。
その中での実感として、どの都市でも電車通勤の人は非常に限定的でした。
バス通勤となると少し数が増えてきますね。
私の場合は自転車通勤と、たまにバス通勤でしたが、もし車を持っていたら車通勤をしていました。
都市によってはバスではなく路面電車だったり、地下鉄だったりしますが、通勤距離も短く中〜短距離が中心です。
通勤時間が長い
もう一つの要因として、時間の違いがあります。
私の場合で、東京に住みながら通勤時間を30分に収めることは非常に難しいです。
ただ、海外の都市ですと通勤時間30分以下というのはそれほど難しくありませんでした。
むしろ、“通勤が一時間なんだよね”と言うと、
“信じられない!”という反応が普通です。
https://toyokeizai.net/articles/-/140017
日本人は”通勤が時間”と聞くと、
“まぁ普通だよね?”
という感じでしょうか。
人によっては、
”いやいや、近いでしょ!俺なんか(以下略)”
と大変さ自慢が始まる可能性も大いにあります。
実際に電車・バスに乗っている時間はそれより短いかもしれませんが、東京の人口密度・長時間乗車という環境の中で“他人に席を譲る優しさを持て”と言うのはなかなか厳しいでしょう。
老人の割合と優先席の席数
次に優先席の席数です。
電車の一両には何人分の優先席があるか?
だいたい車両の端に設置されていますが、1両で~10名分ほどの数ではないでしょうか。
そしてその中に占める老人、優先席対象者の数はどれくらいでしょうか。
それは10人では収まらないと思います。
つまり、絶対数として優先席の数が足りていません。
もし老人が普通席にたくさん座っていたら、
“おいおい、貴重な普通の席が。。。優先席から座ってくれよ…”
と思う方もいるかもしれません。
私は海外でバス通勤をしていましたが、バスが満員になるのは朝晩の通勤ラッシュ時くらいでした。
ここでの満員とは、席が全部埋まっていて、そこそこ人が立っている。
というレベルが多いです。
老人の数も優先席の数とイコールほどですね。
海外の満員って日本の満員とはちょっと違うよ、ということをお伝えしておきます。
文化的違い ~お客様は神様ではない~
日本でも近年“お客様は神様ではない”と言われ始めましたね。
ここで、私が海外に住んで衝撃だった出来事を一つお伝えします。
ある日バスに乗っていると、車椅子のおばあさんが乗ってきました。
*車高が下がり、このような板が展開されるため、簡単に乗り降りができます。
バリアフリー化が進んでいるので、車椅子の人がバスに乗ることはよくあります。
その時にドライバーが言いました。
“車椅子の人が乗ってくるから、そこのヘッドホンの学生は立ってくれ。”
もちろん英語ですが、丁寧な感じというよりはむしろ命令のような口調でした。
日本であればちょっと考えにくい対応だと思います。
車椅子の人が車内を進んでくれば、多くの人は自発的にその場所を空けたと思います。
しかし、ドライバーが乗客に対してこのように強くものを言うことが衝撃的でした。
この時は車椅子でしたが、
“おばあさんが来たから”
とか
”荷物が多い人が来たから”
とか
ドライバーが乗客に指示を出すことは割とよくありました。
“トイレに行くから待ってろ”とか、
“バスの調子が悪いから全員降りろ”なんてこともありましたね…
その時にふと思いました。
日本人が海外に行った時に、一番違和感を感じるのが実はこの部分ではないでしょうか?
“仕事が雑。責任感がない。”
”仕事に集中していない。”
”仕事中に電話をしたり、ガムを噛んだり、態度が悪い”
こういったクレームをものすごく聞きます。大抵の日本人はこれにイライラしてますね。
一言で言うと、
“自分に集中してくれない、お客様扱いしてくれない”
という事がイライラの原因だと思います。
外国人はフレンドリーな人が多いというも事実ですが、一方でそれは“自分を特別丁寧に扱ってくれない”の裏返しでもあります。
店員さんとお客さんは対等なんですね。
バスの運転手はバスの運転が仕事で、その他のサービスは仕事ではありません。
どうせなら、言われる前に先にやろうの精神
こういう環境で生活をすると、優先席に座っていてもどうせ立たされてしまいます。
そうすると、そもそも優先席に座らないか、座っていても譲る精神が育ちます。
だって結局立たされますからね。
そして、優先席でなくても意外とみんな譲ります。
譲られる方も”すまんな”、 ”ええんやで”の精神で普通に気持ちよく笑顔で座ります。
優しさに感謝で答えるプラスの循環、お互いにとても気持ちがいいです。
結論:席を譲らない理由は、日本の社会が悪い。
海外で席を譲られた経験がある方、目撃したことがある方。
思い出してみてください。
どういう状況でしたでしょうか。
“日本ほど混んでいなくて、日本ほど長時間移動ではなかった”
のではないでしょうか。
日本人は遠慮がちなので、譲ったり、譲られたりが気持ちよくできない、ということもあるかもしれません。
けれど、外国人が紳士で優しく、日本人が優しくないということでは無いはずです。
日本社会にこうした文化をどのように取り入れていくかについては、また別の機会に書きたいと思います。
しかし、こうした異文化の考え方・行動を理解し取り入れることが異文化理解の本質です。
海外の人の行動だけを切り取り、日本人は〜、外国人は〜、と論じるのは間違っています。
外国人は何故そうなのか、日本人は何故そうなのか、環境や文化まで含めて行動を理解する必要があるのです。
近年では英語を勉強する意味に悩む人も多くなってきています。
海外が身近になり、異文化理解、という言葉の意味も薄れてきました。
しかし、実はこうした本質的な異文化理解の視点を学ぶことが、英語学習の真の効果と言えます。
これからも当ブログでは”海外と触れあう意味、英語を学ぶ意味”をお伝えしていきますので、何卒よろしくお願いします。