NHK連続テレビ小説から考える理想の日本

コロナが世界的な流行をするなか、テレワーク勤務の方も増えてきたことだと思う。

個人的な予想となるが、テレワーク勤務で8時始業という人は少ないのではないだろうか。

朝の通勤がなくなり時間に余裕ができたサラリーマンが久しぶりに目するであろう番組がある。

そう、連続テレビ小説だ。

日本の朝8時と言えば連続テレビ小説(=朝ドラ)ときまっている。

*私のイメージは08:15開始だった

NHKが太古の昔より放送しており、朝ドラは国民的番組と言っても差し支えないだろう。

古いものであれば“おしん”などが有名だ。

おしん

私は世代が違うため観たことはないが、視聴率62%という数字はもはや現代では達成できない伝説だろう。

これこそまさに国民的な番組。

ちなみに、私の場合はふたりっこすずらんなどを子供の頃に観ていた気がする。

内容はまったく覚えていないが、今でもなんとなく懐かしい気持ちになる。

ふたりっこ

 

しかし、最近の朝ドラにはどうも気になることがあった。

 

なんだか朝から古臭いな!

 

NHKの朝ドラってこんなに古臭かったっけ?

昔はもっと希望にあふれていたはず。

そんな疑問を解消すべくGWのとある昼下がりに調査を開始した。

一体いつの話をしているんだ?

まずは現状認識である。

2020年5月現在、放映しているのは”エール”というドラマのようだ。

日本が生糸輸出量世界一となった明治42年、急速に近代化がすすむ福島の老舗呉服屋に、のちに多くの名曲を生み出すことになる作曲家・古山裕一が誕生する。

老舗の跡取りとして育てられた裕一だが、少々ぼんやりしていて、周りには取り柄がない子どもだと思われていた。
しかし音楽に出会いその喜びに目覚めると、独学で作曲の才能を開花させてゆく

青年になった裕一は、一度は音楽の道をあきらめようとするが、ある日家族に内緒で海外の作曲コンクールに応募してなんと上位入賞を果たす。
それをきっかけに、裕一は歌手を目指している関内 音と知り合う。
福島と豊橋―遠く離れた地に住みながらも、音楽に導かれるように出会った二人は結婚する
そして不遇の時代を乗り越え、二人三脚で数々のヒット曲を生み出していく

しかし時代は戦争へと突入し、裕一は軍の要請で戦時歌謡を作曲することに
自分が作った歌を歌って戦死していく若者の姿に心を痛める裕一…。
戦後、混乱の中でも復興に向かう日本。
古山夫妻は、傷ついた人々の心を音楽の力で勇気づけようと、
新しい時代の音楽を奏でていく─。

なんとなくだが、エールというタイトル自体には明るい雰囲気がある。

絆・繋がりといった胡散臭さが若干する気もするが、まぁそれは良いだろう。

さて、これはいつ頃の話なのかをNHKのアーカイブより確認をした。

朝ドラ100年史として各種データをみることができる大変ありがたいサイトである。

しかし朝ドラはある一日の切り抜きではなく、主人公たちの成長を描くものだ。

つまり設定期間には幅がある。

今回のエールの舞台設定はこうだ。

 

開始:1909年

終了:1982年

 

なんと73年分もある。

ドラマは見ていないので上記の数字が正しいかは感覚的にわからないが、これは映像化が結構大変じゃなかろうかと心配になる。

しかし、エールが終了する1982年といえば約40年も昔のことだ。

今いつ頃の話を放送しているかは不明だが、どの時期だとしても相当昔だ。

私世代でなくても、古い話してんなー、という人は多いだろう。

なぜそんなに昔の話をするんだ?

当然の疑問である。

朝っぱらから“セピア色の古き良き時代”を見せられる若者世代の身にもなって欲しい。

だが、この疑問には簡単に仮説がたてられる。

 

NHKは視聴者が喜ぶ物を作っている。

 

ここで言う視聴者とは、一言で言ってしまえば老人だ。

平日の朝8時に誰が毎日欠かさずテレビを見てくれるのだろうか。

間違いなく30代の働き盛り世代ではないだろう。

こちらの図をお借りするが、朝ドラの場合は視聴者の半数が60代以上だ。

テレビ視聴者層

彼らにとっての楽しい青春。彼らにとっての楽しい時代。

そう考えると戦後から1980年後頃を舞台設定としているのは妥当に思える。

ここ10年〜20年の話をしても老人世代にとっては変化を実感しにくいし、ポジティブな共感も得られないだろう。

昔からそんな古い話してたっけ?

次の疑問がこれである。

確かに老人向けに古い話をするのはわかる。

だけど、昔はもっとハツラツとしていたような…?

ふたりっことか元気いっぱいだったような?

ちなみに、ふたりっこの舞台設定を調べてみるとこうなる。

開始:1966年

終了:1984年

あれ?エールとあんまり変わらないな。

しかし、ちょっと待ってほしい。ふたりっこの放送開始は1996年である。

つまり40年も昔の話ではなく、せいぜい10~20年昔の話をしているのだ。

こうなってくると面白い。

一話だけで比べることはできないが、日本の古き良き時代は固定されているのではないか、という気がしてくる。

早速調べてみたのが下の表だ。100周年を祝うぐらいなので非常に長い表だがご容赦願いたい。

本来であればわかりやすい表やグラフを添付したいのだが、Google spread sheetの操作が分からず申し訳ない。

ちなみに、表中の言葉は以下のような意味になっている。

放送年:放送した年

開始:作品の舞台設定の始め

終了:作品の舞台設定の終わり

中央:開始と終了の間。作品の舞台設定に幅があるケースも多いので、作品の代表年を表すために便宜的に中央を使っている。

何年昔か:放送年と中央の差分。マイナスは一部未来が含まれるため。

作品番号タイトル放送年開始中央終了何年昔か視聴率
1娘と私196119251938195123
2あしたの風19621945195419638
3あかつき1963196019651970-2
4うず潮19641922193619492947.80
5たまゆら1965196019651970044.70
6おはなはん19661903193519663256.40
7旅路19671915193919622956.90
8あしたこそ1968195919651970455.50
9信子とおばあちゃん1969196919701970-146.80
1019701943195419641748.80
11繭子ひとり1971197119721972-155.20
12藍より青く19721943195519661853.30
13北の家族1973197119731974151.80
14鳩子の海19741945196019751453.30
15水色の時1975197419751975146.80
16おはようさん1975197519761976-144.00
17雲のじゅうたん19761913193319524448.70
18火の国に1976197519761977043.90
19いちばん星19771897193319684544.90
20風見鶏19771915194819803048.30
21おていちゃん19781908192919504950.00
22わたしは海19781920193319464542.10
23マー姉ちゃん19791934194619573449.90
24鮎のうた19791929194119523949.10
25なっちゃんの写真館19801930194119523945.10
26虹を織る19801937195119652945.70
27まんさくの花1981198019811982042.40
28本日も晴天なり19811944195919732343.30
29ハイカラさん19821882189419058944.90
30よーいドン19821927193719474543.10
31おしん19831907194519833862.90
32ロマンス19841912191619206847.30
33心はいつもラムネ色19841928194219554348.60
34澪つくし19851926193619464955.30
35いちばん太鼓19851965197019751539.90
36はね駒(こんま)19861890190119128549.70
37都の風19861940194819563844.90
38チョッちゃん19871927193819494946.70
39はっさい先生19871931194019484844.50
40ノンちゃんの夢19881945195019543950.60
41純ちゃんの応援歌19881947195519623444.00
42青春家族1989198919891989044.20
43和っこの金メダル19891958197419901540.50
44凜凜と19901912192219326839.50
45京ふたり1990199019901990041.60
46君の名は19911945195019554134.60
47おんなは度胸1992198019861992645.40
48ひらり1992199219931993-142.90
49ええにょぼ1993198919911993244.50
50かりん19931948195619643735.70
51ぴあの1994199419941994030.60
52春よ来い19941943196619892829.40
53走らんか!1995199519951995028.00
54ひまわり1996199119941996329.60
55ふたりっ子19961966198420021231.90
56あぐり19971907193119546731.50
57甘辛しゃん19971960197819952030.00
58天うらら19981970198419981435.60
59やんちゃくれ1998197919891999926.30
60すずらん19991923196119993830.40
61あすか19991960198020001927.60
62私の青空2000199319972000428.30
63オードリー20001953197720012324.00
64ちゅらさん2001199119962001529.30
65ほんまもん2001199219972001525.10
66さくら2002200220022002027.50
67まんてん2002200220062009-423.60
68こころ2003200020022003226.00
69てるてる家族20031946195819704522.00
70天花2004199419992004520.00
71わかば2004199520002004519.90
72ファイト2005199520002005521.90
73風のハルカ2005198819972005921.30
74純情きらり20061928193819486824.20
75芋たこなんきん20061965198620062120.30
76どんど晴れ2007200720072007024.80
77ちりとてちん20071982199520071318.80
782008200720082008118.50
79だんだん2008200020062011318.70
80つばさ2009199520022008817.70
81ウェルかめ2009199520022009720.60
82ゲゲゲの女房20101939196319864823.60
83てっぱん2010200820102011123.60
84おひさま20111932194319536922.60
85カーネーション20111924196820114425.00
86梅ちゃん先生20121945195319615924.90
87純と愛2012201220122012020.20
88あまちゃん2013200820102012327.00
89ごちそうさん20131911192919478427.30
90花子とアン20141900192619528825.90
91マッサン20141920194619716925.00
92まれ20151994200520151122.70
93あさが来た201518571884191113127.20
94とと姉ちゃん20161930195919885725.90
95べっぴんさん20161934195919845722.50
96ひよっこ20171964196619685124.40
97わろてんか20171902192419469322.50
98半分青い。20181971199120112724.50
99まんぷく20181938195419706423.80
100なつぞら20191946196119755923.80
101スカーレット20191947196719875222.40
102エール202019091946198275
平均1965

作品によっては満遍なく時代が経過せず、最初は一瞬だけ使い、後半がほとんどの舞台等のケースもあると思う。

そういう作品は作品イメージと中央の数値が一致しないかもしれない。

しかし、そこまで時間と手間をかけられないということで許して欲しい。

余談となるが全ての作品舞台の平均として1965年という数字が出てきた。

この数字に意味があるのか。もしあるとしたら日本の衰退を表すようで少し悲しい気がする。

連続テレビ小説の傾向

この表をみると、朝ドラにはある程度の年代傾向があると思われる。

交互時代 (1~19話)

この時代の特徴は、今の話と昔の話を交互にすることだろう。

例えば、以下のようになる。

作品番号タイトル放送年何年昔か
1娘と私196123
2あしたの風19628
3あかつき1963-2
4うず潮196429
5たまゆら19650
6おはなはん196632
7旅路196729
8あしたこそ19684
9信子とおばあちゃん1969-1
10197017
11繭子ひとり1971-1
12藍より青く197218
13北の家族19731
14鳩子の海197414
15水色の時19751
16おはようさん1975-1
17雲のじゅうたん197644
18火の国に19760
19いちばん星197745

 

多少の波がありつつも、概ね今と昔を交互に作っていると言えるのではないだろうか。

ノスタルジー時代(20 ~ 41話)

次に来るのがノスタルジー時代である。

ここでは交互に制作というルールが消え、昔の話が多くなる。

これまでは昔の話と言ってもせいぜい20年前あたりだったが、突然40年ほどまで昔が遡ることになる。

しかも現代(当時)の話がほぼない。

作品番号タイトル放送年何年昔か
20風見鶏197730
21おていちゃん197849
22わたしは海197845
23マー姉ちゃん197934
24鮎のうた197939
25なっちゃんの写真館198039
26虹を織る198029
27まんさくの花19810
28本日も晴天なり198123
29ハイカラさん198289
30よーいドン198245
31おしん198338
32ロマンス198468
33心はいつもラムネ色198443
34澪つくし198549
35いちばん太鼓198515
36はね駒(こんま)198685
37都の風198638
38チョッちゃん198749
39はっさい先生198748
40ノンちゃんの夢198839
41純ちゃんの応援歌198834

朝ドラとは昔のものという法則性はこの辺りに確率されたのかもしれない。

現代時代(42話〜88話)

さてそろそろ区切るのが面倒になってきた感じはあるのだが、ざっくりとまとめさせて頂いた。

この時代の特徴は、比較的今の話が多いことである。

もちろん昔の話もあるのだが、10~20年前というよりはがっつり昔にしてファンタジー度を上げている印象である。

これらの朝ドラは私の生まれ育った世代でもあり、朝ドラといったらこのイメージである。

作品番号タイトル放送年何年昔か
42青春家族19890
43和っこの金メダル198915
44凜凜と199068
45京ふたり19900
46君の名は199141
47おんなは度胸19926
48ひらり1992-1
49ええにょぼ19932
50かりん199337
51ぴあの19940
52春よ来い199428
53走らんか!19950
54ひまわり19963
55ふたりっ子199612
56あぐり199767
57甘辛しゃん199720
58天うらら199814
59やんちゃくれ19989
60すずらん199938
61あすか199919
62私の青空20004
63オードリー200023
64ちゅらさん20015
65ほんまもん20015
66さくら20020
67まんてん2002-4
68こころ20032
69てるてる家族200345
70天花20045
71わかば20045
72ファイト20055
73風のハルカ20059
74純情きらり200668
75芋たこなんきん200621
76どんど晴れ20070
77ちりとてちん200713
7820081
79だんだん20083
80つばさ20098
81ウェルかめ20097
82ゲゲゲの女房201048
83てっぱん20101
84おひさま201169
85カーネーション201144
86梅ちゃん先生201259
87純と愛20120
88あまちゃん20133

大昔時代(89~102話)

さて、いよいよ最近の話である。

この時代の特徴はひたすらに話が古いことだ。

“まれ”の11、半分青いの27が若々しい感じもするが、その他は日本の少子高齢化社会を象徴するように50~80という高齢化した数字が並ぶ。(=50~80年前の話が多いということ)

古い話してんなー

という感覚はやはり間違っていなかったようだ。

作品番号タイトル放送年何年昔か
89ごちそうさん201384
90花子とアン201488
91マッサン201469
92まれ201511
93あさが来た2015131
94とと姉ちゃん201657
95べっぴんさん201657
96ひよっこ201751
97わろてんか201793
98半分青い。201827
99まんぷく201864
100なつぞら201959
101スカーレット201952
102エール202075

連続テレビ小説から時代を読み解く

改めてまとめてみると、大きく4つの時代に分かれていることがわかった。

  1. 交互時代
  2. ノスタルジー時代
  3. 現代時代
  4. 大昔時代

過去の傾向を考えるとまるで景気の波のように、古い・新しいを繰り返しているようにも見える。

現代においてもそろそろ大昔時代が終了し、今風の話が増えるかもしれない。

皆様のNHKが日本の標準的なテレビ番組だとしたら、NHKの連続テレビ小説は日本社会を写す鏡と言えるだろう。

各時代の年齢分布や景気動向を調べれば、逆説的にNHKがなぜこういう番組を作ったのかを理解できるかもしれない。

専業主婦の社会進出なども影響をしている気がするし、当時起きた出来事も総合的に影響を及ぼす気がする。

残念ながら今回はデータを集めただけで考察がほとんど出来ていないが、最近の連続テレビ小説は古臭いなと思った人が共感をしてくれれば幸いである。

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